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美しいスタワヘッドをつくってしまったホア家とは

投稿日:2018-06-10 更新日:

 

スタワヘッド

スタワヘッドに行って来ました。とても美しいとは聞いていましたが、思った以上で感激しました^^

ということでスタワヘッドについて書いて見たいと思います。

Stourhead は ストウヘッド/ スタワヘッド/ スタウアヘッド などと日本語表記されているようですが、発音的には「スタワヘッド」と言うのが一番近いと勝手に思っておりますので、こちらで統一させていただきました。

日本の方にはそれほど知られていなく、あまり日本語での解説がないように思いましたので、ご参考にしていただけたら幸いです。

スタワヘッドとは

スタワヘッドはイングランドのWiltshire州に位置する旧貴族のお屋敷&庭園。ロンドン中心地から車で約2時間半ー3時間ほど、およそ150kmほど南西へ下ったところにあります。敷地面積は約1072ヘクタールなので東京ドーム228個分の広さ! 今では一部がナショナルトラストによって管理されています。

こちらは1717年までは中世から続いた名門貴族、スタワトン家に所有されていましたが、清教徒革命の際に、王政派、カトリックサイドについたことがきっかけで、戦争で敗北後、財産を剥奪され破産してしまいました。その後このスタワヘッドをホアファミリーが買い上げたものです。

購入後、スタワトン一家が住んでいたオリジナルのマナーハウスは壊され、新たに建設されたのが現在の邸宅です。

そして何と言っても見どころなのが、美しい庭。幻想的な風景は人々を魅了し続けています。

 

邸宅

1720年頃から建築された邸宅はいわゆるパッラーディオ建築と呼ばれる様式なんだそうです。いったいどんなものがパッラーディオなのでしょうか。

パッラーディオ建築(パッラーディオけんちく、表記はパラディオとも、英: Palladian architecture)は、ヴェネツィアの建築家アンドレーア・パッラーディオ(1508年-1580年)の設計から派生しヒントを得たヨーロッパの建築様式である。 (ウィキペディアより)

 

うーんさっぱりわかりませんが、めちゃくちゃ簡単にいうと、円柱とアーチを組み合わせたものってところでしょうか。ローマやギリシャ時代にあった様式を取り入れています。この時代ちょっとしたブームだったんだそうです。

ちなみにデザイナーは、コーエン・キャンベル氏。ロンドンのピカデリーにあるロイヤルアカデミーオブアートが入っている、Burlington Houseなんかもデザインしている人らしいです。

もちろん邸宅は中も見学可。素晴らしいインテリアにホア家がコレクションしてきた美術品や絵画を見ることが出来ます。

 

庭園

写真を見ただけでお分かりかと思うのですが、吸い込まれそうな風景です。この世のものとは思えないほど幻想的。写真ではよく見えるけど、という残念な場所もあったりしますが、ここは本当に写真の通りです。

どこかで見たことあるなーと思ったら、大好きなクロード・ロランの絵画でした。初めて美術館で彼の絵を見た時にすっかり魅了された私は、絵葉書を買って部屋の壁に貼っていました。見てるだけでそこにいるかのような感覚になる、そこにずっとい続けたいと思うような、いわゆる理想郷を描いたクロードロランの世界が、そのまま現実に目の前に現れたのでした。

この敷地を買ったヘンリー・ホアは、もちろんクロード・ロランの絵画の所有者で、他にもニコラス・プサン、ガスパール・デュジェなどからもインスパイアされているようです。

こちらがヘンリーが所有していたロランの絵画

https://www.nationalgallery.org.uk/paintings/claude-landscape-with-aeneas-at-delos

そのまんまですねー。

 

デザインには、ヘンリー・フィッツクロフト。(ヘンリーだらけ。。。)景観設計士のウィリアム・ケントやバーリントン卿 などと同期。こうやって見てみると、上記で挙げたキャンベルさんがBurlington Houseの設計をしたというのがここでつながりました。おそらく建築エリート集団仲間なんでしょうね。

Apollo

 

そして何と言っても主役は湖。これも最初からあったものはなく、作っちゃいました。。その後、庭園を設計通りに形作って行ったのでした。また湖や木々と主に重要となるのが、オブジェ(建物)です。これらのいくつかは、湖の周りの小道に沿って計算された場所に建てられています。どこから見ても、素晴らしい景色。

経路順に見ていきますと。。

Ice House  文字通りアイスハウスは冷蔵庫が登場するまで特権階級だけが持っていた贅沢なもの。冬に凍った湖の氷を置いておいて藁のレイヤーで溶けないようにし、夏にも冷たいものが食べられたそうです。

Fir Walk   邸宅から一直線に見えるオベリスクに続く小道。1853年にはオベリスクに雷が落ちてしまったそうです。

Temple of Flora  入り口から入って最初にある円柱のある建物。こちらを見るには正面のパンテオンからが一番とのこと。

temple of flora

 

Six Wells Bottom  スタワヘッドからほど近いBristolの水源だった St Peter's Pumpにあったものを、Henry Hoareが持ってきてモニュメントとしてここに設置しました。

The Grotto  1776年に建てられもの。グロテスクな感じの洞窟です。中にはRiver God の像があります。

grotto

 

Gothic Cottage  1806年にただの小屋だったのを、当時流行していたゴシック風にアレンジしたもの。

cottage

 

Pantheon  この庭園で一番存在感を示しているのがこちら。パンテオンとは神殿という意味。こちらではヘラクレスが祀られています。柱の間から見る向こう岸も絶景です。

panthon pantheon

 

Cascade  パンテオンを過ぎると右手に見えてくる湖に落ちている滝です。1765年に人の手で作られたものです。

Temple of Apollo  こちらは太陽の神、アポロの神殿。屋根が落ちてしまったので2010年に補修されました。

Apollo

 

Palladian Bridge  フィッツクロフト晩年のデザイン。イタリアのヴィツェンツァにある橋を元につくられました。

Bristol Cross  中世もので、こちらもブリストルから運んできたものです。

bristol cross

 

作られた時から大人気

18世紀から19世紀にかけて、このスタワヘッドは大人気で当時余暇を楽しむ人がたくさん訪れたようです。裕福層の間でも、一度は訪れるべき場所として知られていました。宿泊所は常にいっぱいだったようです。今でも the Spread Eagleとして残っています。

http://www.spreadeagleinn.com/index.asp

 

ホア家とは

もともと裕福な馬商人の一人息子だったリチャード・ホア (この敷地を買った、ヘンリー・ホアの父親)は金細工職人の見習いとして働いていましたが、1673年、店主人のビジネスを買うことによって、自分自身の商売を始めます。その後成功を納め、ロンドンのFleet Street (シティ)に銀行を設立しました。当時は質屋のような形で、顧客は高額品を納めてお金を借り、時にはそこで造っていた金銀製品を購入しました。元金細工職人のリチャードのところで働いていた職人はロンドンでもっとも優秀な人たちだったとのことです。

その後は紆余曲折を経て、リチャードはアン王妃の元でナイトの称号を得て、市会議員、国会議員、ロンドン市長へと上り詰めました。

リチャードの息子、ヘンリーはその人柄ですでに友達からThe Good と呼ばれていた人物。彼は父から全てを受け継ぎ、このスタワヘッドを購入し、建物を建て直しました。しかし完成間際の1725年、わずか47歳にこの世を去ります。

ヘンリー the good の息子、ヘンリー 'the magnificent' ホア (1705–1785)は母 ジェーンの死後、若干19歳で莫大の資産を受け継ぎます。若い頃は邸宅には全く興味のなかったヘンリーですが、だんだんとホア家の後継者としての自覚に目覚め、さらに資産を増やし続けます。彼は真面目に仕事をし、本を読み、1738年にはグランツアーに出かけ、邸宅に飾る絵画や美術品を購入しました。

資産も教養もあったこの ヘンリー 'the magnificent'は、素晴らしい庭園を作り上げ、数々の美術品で邸宅を完成させたのでした。晩年、ヘンリーは孫のコルト・ホア へ資産を継承をし引退した後、80歳で死去。

ヘンリーは遺産を娘婿のリチャードではなく、その息子 コルト(ヘンリーの孫)に相続してしまったので、面目を潰された父とのその後の確執は大変なものだったようです。一家はロンドンでの銀行業とスタワヘッドでの大地主階級の2派に分断されてしまいました。さらにコルトは愛する妻と2番目の子供を一度に失くした上に、遺産を相続してくれた祖父ヘンリーも世を去るという、失意の時期を過ごしました。悲しみから逃れるため、ヨーロッパに数年滞在し芸術への造詣を深め、スタワヘッドに戻ったコルトは、邸宅にギャラリーとライブラリーを作り、画家ターナーのパトロンになったりしています。

その後5代にわたり様々な形で管理され、1946年、ヘンリー(6代目バロネット)により、敷地の一部をナショナルトラストへ寄贈され、今に至っています。

 

ホア家の現在

Hoare銀行は 裕福層向けのプライベート銀行 C. Hoare & Co. として現在もFleet Streetに拠点を構え、イギリスでもっとも古い銀行、ヨーロッパでも4番目に古い銀行として経営されています。現在の経営者は創業者のリチャード・ホアより10代目、11代目に数えられるそうです。

 

歴史的にもなかなか興味深い、ホア家が莫大な資産で作り上げた邸宅と庭園。

どの季節に行っても美しい場所なので、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

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